水風呂で死ぬなんて……サウナ後は特に危険? 冷水シャワーのがよい?

  • 2022年10月11日
  • 2023年5月11日
  • 水風呂

サウナを楽しむうえで欠かせないのが水風呂。

大量に汗をかいたあとの水風呂は、爽快感があり気持ちよいですよね。水風呂を楽しむためにサウナに入るという人もいるくらいです。

しかし、サウナと水風呂を交互に利用すると体に大きな負担がかかります。最悪の場合、命を落とす可能性もあり、実際にそのような事故も発生しているようです。

今回は水風呂の危険性や、体に悪い入り方、水風呂の代わりにできるものがあるかなどについて紹介していきます。

デメリットあり?水風呂の危険性とは

サウナや水風呂は健康によいイメージがありますよね。

しかし、ただしい知識がなかったり、間違った使い方をしたりするとかえって危険です。この章では水風呂の危険性を解説していきます。

サウナ後の水風呂は特に危険って本当?

「サウナで火照った体を水風呂で一気に冷やす。」

これがサウナの醍醐味だと考える人は多く、サウナは熱ければ熱いほど、水風呂は冷たければ冷たいほどよいという意見もあります。

しかし、水風呂の危険性はこの温度差にあります。

熱く火照った体を急激に冷やすと、体に大きな負担がかかります。具体的には、サウナと水風呂の温度差に筋肉が痙攣し、もしこれが心筋でおこると心臓麻痺になる可能性があります。

また、サウナ中は血管が拡張しており血圧が低下します。

水風呂で急激に体を冷やすと血管が梗塞(ふさがること)しやすくなり、心筋梗塞意識消失などを引き起こす可能性が高まると言われています。

心臓に負担を与えるヒートショック現象とは

ヒートショック現象とは、血圧が大幅に上がったり下がったりすることにより、心臓や血管に負荷がかかり、疾患を引き起こすことです。

主に、脳内出血心筋梗塞脳梗塞などの疾患を引き起こすと言われています。

ヒートショック現象は、冬場など、浴室と脱衣所の温度差が原因で発生することが多いとされています。

ただし、サウナと水風呂を行き来する行為は、季節を問わず、自ら温度差による体への負荷がかかる状況をつくりだすことになるので、ヒートショック現象が起きやすいといえるでしょう。

サウナハットをかぶった男性
ちなみに、10℃以上の温度差がある場所ではヒートショック現象の発生率が高まります。

(出典:済生会「冬場に多発! 温度差で起こるヒートショック」)

サウナでの水風呂死亡事故はある?

温浴施設に限らないですが、入浴中の死亡事故は年間に19,000件発生しているというデータもあります。これらすべてがヒートショックによるものとは言えませんが、以下のグラフを見ていただくとわかるように、気温の低い冬場の事故が多くなっています。

東京都の平均気温と23区内における入浴中の死亡者数のグラフ

(引用: STOP!ヒートショック「ヒートショックによる死亡数」)

これを見る限り、ヒートショック現象による死亡者数が比較的多いことが分かります。

また、実際にサウナ利用中に死亡したという事故もたびたび発生しています。

たとえば、元プロレスラーの永源遥さんが都内のサウナ店で倒れ、急死した話は有名です。

ほかにも、大相撲の二所ノ関親方が千葉県の温浴施設にて、サウナで急激に体を温めたり、水風呂で冷やしたりした結果、ヒートショックを起こして倒れたという事故も起きています。当時は気温も低く、自転車で帰路についていたことも原因ではないかと言われています。

ヒートテック現象により、心臓に不調をきたし、水風呂に入っているうちに失神してしまい、溺死するケースもあるそうです。

体に悪い水風呂の入り方

サウナと水風呂の往来は健康的なものとされている反面、入り方次第では体に悪影響を与えるとも言われています。

この章では、体に負担をかける水風呂の入り方や、体への悪影響について解説していきます。

一気に水風呂に浸かる

サウナに長い時間入っていると、水風呂が無性に恋しくなることがありませんか?(筆者はあるんですが……。)できることなら、かけ水もせず一気にそのままダイブしたくなりますよね。

サウナを出た直後に水風呂に入ると急激に体温が下がります。このような入り方をすると、血圧が急に上がり心臓や脳血管に負担がかかりやすくなるのです。つまり、脳梗塞や心筋梗塞も起こりやすくなります。

そのため、まずは心臓から遠いところにかけ湯や、かけ水をして、体を温度に慣れさせてから水風呂に浸かるのがよいでしょう。

水風呂に長時間入る

水風呂に入ったことがある方ならわかると思いますが、長く入れば入るほど肌の表面に体温の膜が生成され、さほど冷たさを感じなくなります。

そのため、30秒ほど水風呂に入っていれば、冷たさに慣れ、いつまでも入っていられる感覚に陥ることでしょう。

しかし、この感覚が実は危険なのです。水風呂に10分以上浸かると体の深部体温が下がっていきます。これにより低体温症が発生するのです。

低体温を引き起こすと、めまいや、視界不良意識の低下などを発症すると言われています。

また、サウナや水風呂のような場所で失神し、転倒してしまった場合、頭を強打したり、外傷を負ったりする恐れもあります。

そのため、水風呂に入る際は時間を計るのをおすすめします。目安は30秒から1分くらいです。

10~30秒だけ入っても十分に体は冷やされるので、長時間の利用は避けましょう。

水風呂から一気に立ち上がる

水風呂から急に立ち上がるのも体に悪影響を及ぼす行為の1つです。

めまいや立ちくらみ、最悪の場合、脳貧血を引き起こすこともあります。脳に十分な血液が運ばれていない状態で立ち上がることで、これらの症状が発生します。

水風呂から出る際はゆっくり動き出したり一度浴槽のへりに腰掛けるなどの工夫があるとよいでしょう。

サウナ後に水風呂に入らない場合もととのう?

手を顎に当て悩む女性

ここまで、水風呂の危険性について紹介してきましたが、

ハテナな男性
そもそも水風呂に入らないと、ととのわないのでは?

と思った方もいるでしょう。

結論から言うと、水風呂に入らないから「ととのえない」ということはありません

ととのう状態とは、人により異なり曖昧なものだと言えます。なかには、サウナは入るが水風呂には入らないという人も存在しているのです。

水風呂に入らずサウナにだけ入ることで、温熱効果により、ストレスの改善や血流がよくなるなどの健康効果は得られます。また、外気浴だけでも、サウナとの気温差で爽快感を味わうことができるでしょう。

たしかに、「水風呂にしっかり浸かるからととのえる」という説はありますが、無理に水風呂に入ってリスクをとるのはおすすめできません。

サウナハットをかぶった男性
水風呂に入らずにサウナを楽しんでいる人は少なくないですよ。

ここからは、水風呂を利用せず、より安全なかたちで温冷効果を得る方法などを紹介します。

水風呂の代わりにシャワーをあびるのもあり

冷水シャワーを浴びて水風呂のように体を冷やす方法も効果的です。

ポイントは、冷たすぎない温度にすることです。

あまり冷たすぎると、水風呂と変わらないので、ちょっと冷たいかなくらいの温度設定がよいでしょう。目安は25~30℃くらいです。

また、手足など心臓からなるべく遠いところから徐々に浴びていくようにすると安心です。

息苦しいくらいなら水風呂に入らなくてよい

水風呂に入ると呼吸が苦しくなることがあります。これは急激な温度変化により、血圧や心拍数が激しく変動しているからです。

入浴のたびに息苦しくなったり、体に異変を感じた場合はすぐに入浴をやめましょう。

水風呂に入らずとも爽快感を得る方法はありますし、水風呂に入らなければいけないきまりはありません。

無理をして取り返しがつかないことになる前に、自分のコンディションと相談しながら利用するようにしましょう。

関連記事

温浴施設などの水風呂はサウナ好きが好んで利用しているのをよく目にしますよね。 サウナやお風呂に浸かり、火照った体をクールダウンさせる用途として水風呂を利用すると、健康増進効果が期待できるとも言われています。 では、「水風呂」だけ[…]

蛇口から水風呂に注がれる水

水風呂に入るなら十分な準備が必須!

水風呂に入る際は、

  • 入る前に十分に水分補給をする
  • いきなり入らずに、かけ水などをおこない水温に慣れる
  • 体調が万全な状態で利用する

上記のような準備をして、水風呂の危険性を理解したうえで利用しましょう。

水風呂を正しく利用すれば、免疫力アップや自律神経の乱れ解消などの健康効果をはじめ、肌の引き締めや抜け毛予防などの美容効果も期待できます。

「危険だから水風呂を利用しない」ではなく、「なぜ危険なのか、どうすれば危険じゃないのか」を理解して、水風呂を楽しむのがおすすめですよ。